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「飲酒運転とめなかった」遺族が妻と同僚を賠償提訴
                            読売新聞 2005/1/5/15:02
 埼玉県坂戸市で2001年、近くに住む大東文化大1年の正林幸絵(まさばやし・さ
ちえ)さん(当時19歳)ら3人が酒酔い運転の車にひき逃げされ、死傷した事件で、
正林さんの両親と2人の兄が、運転手の男性(35)(危険運転致死傷罪などで懲役7
年確定)に加え、妻や勤務先の会社、同僚を相手取り、計約8100万円の損害賠償を
求める訴訟を起こしていたことが分かった。 

 加害車両の同乗者を運転手と共に提訴するケースはあるが、家族や同僚まで訴えるの
は異例だ。 

 訴えでは「常習的な飲酒運転を知りながら制止せず、助長した」としており、交通事
件の過失に詳しい専門家は「飲酒運転ほう助のような積極的な関与が認められるかがポ
イントだ」と注目している。 

 訴訟は昨年秋、さいたま地裁川越支部に起こされたが、その後、東京地裁に移される
ことが決定した。 

 訴状や刑事裁判の記録によると、2001年12月29日未明、同県日高市にある建
設機械リース会社の社員だった男性は、酒を飲んで正常な運転ができないことを認識し
ながら社有のライトバンを運転。時速約60キロで走行中、坂戸市花影町の市道で仮眠
状態となり、帰宅中の正林さんら3人をはねて逃走。正林さんと女子短大生(当時20
歳)を死亡させ、男子大学生(当時21歳)にも2週間のけがをさせた。 

 男性の妻(38)は、男性が数年前にも酒気帯び運転で罰金刑を受けるなど日ごろか
ら飲酒運転を繰り返し、事件当日も飲んで帰るのを聞かされていたのに、「注意して帰
って」としか言わなかった。
 同僚(52)も当日、飲食店3軒で男性とはしご酒をして、男性が深酔い状態で車に
乗るのを見ていたのに、止めなかった。 

 こうしたことから、妻や同僚も、男性が飲酒運転で事故を起こすのを防げたのに、助
長したとしている。 

 男性の供述によると、勤務先の安全運転責任者を務める部長(64)は、社有車が居
酒屋などに止めてあると立ち寄り、部下らの飲食代を払う一方、代行車を呼ぶなどの措
置は取らなかったという。
 この部長は「『酔いをさましてから行けよ』という程度で、車の鍵を取り上げず手ぬ
るいところはあったが、黙認していたわけではない。
 事件以来、飲酒運転をしないよう社内で徹底している」と話している。男性の妻側は
「話すことはない」としている。 

 交通事件の過失論などに詳しい松本誠弁護士は、「飲酒運転への関与は、容認しただ
けでなく、積極的なかかわりがないと認定するのは難しい。
 だが、被害者側からすれば、責任は関与した全員にというのは当然の感情だ。
 危険運転致死傷罪が被害者らの声で出来たことを考えても、周辺者の責任が問われな
いのは不公平だろう」と話している。 


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