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<供述調書>不起訴事件も開示 法務省「被害者に配慮」
                            毎日新聞 2004年6月6日(日)
法務省は、不起訴になった刑事事件の供述調書について、これまで原則非開示としてきた方
針を改め、一定の条件を満たした場合は開示するとの見解をまとめ、全国の検察庁に通知し
た。
不起訴記録の開示は、実況見分調書など客観証拠に限られており、容疑者や目撃者、参考人
の供述証拠が対象になるのは初めて。客観証拠の開示対象を広げた00年3月以来の大幅な
変更で、同省幹部は「犯罪被害者に配慮した」と説明している。

起訴された被告の刑が確定した場合、被害者は供述証拠を閲覧できる。審理中の刑事事件に
ついては、00年11月施行の犯罪被害者保護法により被害者による調書の閲覧やコピーが
認められた。
しかし、検察官が嫌疑なしや嫌疑不十分、起訴猶予で不起訴とした事件では、供述調書が開
示される例はほとんどなかった。

法務省の通知によると、供述調書が開示されるのは、刑事事件の関係者が「被害を受けた」
などと民事訴訟を起こし裁判所から提出要請があった場合のうち、▽調書が民事訴訟の重要
な争点に直接関係する必要・不可欠な証拠である▽供述者が死亡・行方不明になるなど、民
事訴訟に出廷できない事情がある▽開示しても捜査・公判に支障が生じたり、供述者や関係
者の身体、プライバシーを傷つける恐れが無い――など、すべての条件を満たしたと検察官
が判断したケース。

さらに、民事訴訟で目撃者などを証人尋問したいのに、人物が特定できなかったり、所在不
明の場合について、同様の条件を満たせば、検察官が氏名や住所などを裁判所に伝えるとし
ている。

通知は東京地検が不起訴事件の調書開示基準について照会したのを受け、法務省刑事局がま
とめた。刑事局は5月31日付で地検に回答するとともに、全検察庁に文書を送付した。【
小林直】

▽刑事訴訟法に詳しい江藤洋一弁護士の話 不起訴事件の調書開示は、多くの被害者が求め
てきたものであり、その救済という観点から意義深い方針転換だ。
しかし、以前から法制審議会などで論議されていたテーマであることも考慮すると、検討に
時間がかかり過ぎたとも言える。
開示にさまざまな条件が付されており、検察官の裁量が大きく影響するため、実効性につい
ては、今後の状況を見守る必要がある。

◇世論考慮し方針転換=解説

法務省が、不起訴となった事件の調書開示に踏み切った背景には、犯罪被害者の悲痛な訴え
がある。
真相が知らされず、捜査への不信感をぬぐい切れないことから、長く改善を求めてきたもの
で、捜査への悪影響を理由に慎重姿勢を崩さなかった法務・検察当局が方針転換した意義は
大きい。

官公庁に対し、裁判所の命令があった場合、公文書の提出義務を課した民事訴訟法の一部改
正(01年6月成立)でも、刑事書類は対象から外された。
改正案を論議した法制審議会(法相の諮問機関)では、刑事書類の開示を求める声があった
が、法務省側が不起訴記録の原則非公開を定めた刑事訴訟法47条を理由に拒否したためだ


しかし、東京都世田谷区で交通事故死した小学生、片山隼(しゅん)君の両親に対する捜査
当局の不適切な対応をきっかけに、法務省は99年4月から起訴、不起訴の処分結果を通知
する「被害者等通知制度」を始めた。
00年3月からは、実況見分調書などに限っていた開示対象を、写真撮影報告書や検視調書
などの客観証拠にも拡大したが、供述調書だけは対象から外した。

その理由について、法務・検察幹部は「白昼に発生した事件でも目撃したはずの人物が現れ
ない。
こうしたなかで調書を開示すれば、捜査の協力者がさらに減るのは間違いない」という。
しかし、被害者重視という世論の流れも考慮し、法改正ではなく通知による運用の改善で対
応する「ぎりぎりの選択」(法務省幹部)に踏み切った。
【小林直】

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