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タイヤ脱落事故:遺族、長かった2年半「一つの区切り」
                            毎日新聞 2004年5月6日

「三菱」の威信が再び地に落ちることになった。02年1月に横浜市で起きた三菱自動車(
三菱ふそうトラック・バスに昨年1月分社)製大型トレーラーのタイヤ脱落による死傷事故
。国への虚偽報告と部品の欠陥を放置した疑いで神奈川県警など捜査当局は6日、当時の最
高幹部だった三菱ふそうトラック・バスの宇佐美隆前会長(63)ら7人を逮捕。三菱自本
社(東京都港区)の家宅捜索にも乗り出した。出勤してくる社員の表情は一様に硬かった。

事故被害者の遺族は「一つの区切り」としながらも怒りは収まらない。
リコール隠し事件の発覚からわずか4年。事件は教訓にならなかった。再び、安全軽視の隠
ぺい体質が厳しく問われる。【広瀬登、木村光則】

 ◇長い2年半だった。「何も悪くない娘はなぜ殺されてしまったのか」

脱落したタイヤの直撃を受けて死亡した神奈川県大和市の主婦、岡本紫穂(しほ)さん(当
時29歳)の母、増田陽子さん(55)は事故後、心の中で繰り返し、その度に怒りがこみ
上げてきた。
三菱自への強制捜査を聞き、「一つの区切りになった」と思う一方で、怒りは解けない。

「三菱は何も対策を取らなかった。もっと前に原因を調べていたら、娘は死ななくてもよか
ったのに。会社ぐるみの殺人ですよ。許せない……」

体調がすぐれず、首が痛むようになった。「首を打って死んだ娘が訴えているのかもしれな
い」と思う。

「娘の無念を晴らしたい」と増田さんは昨年3月、三菱自側などを相手取り横浜地裁に損害
賠償請求を起こした。
三菱ふそうトラック・バスのビルフリート・ポート社長はリコールを正式発表した後の3月
25日、紫穂さんの墓前で謝罪した。しかし、誠意は伝わってこなかったという。

増田さんは誕生日を迎えた6日朝、紫穂さんが持っていた携帯電話にメールを打った。
「あの人たちは逮捕されても生きている。でも紫穂は戻ってこないよね」。お墓に花を供え
、報告に行った。

「私には、もうほかに娘と話す場所はないんです」

 ◇グループ社員「看板に傷」

県警が家宅捜索に入った三菱自動車と三菱ふそうトラック・バスが入居する品川三菱ビル(
東京都港区港南2)前には、約90人の報道陣が詰めかけた。

午前9時前、バスで乗り付けた捜査員ら約20人が段ボール箱などを手に、報道陣が取り囲
む中、列を組んで1階正面玄関から捜索に入った。
同社によると、同県警は12階の管理部門などと18階の役員室、秘書室を中心に捜索して
いるという。

家宅捜索の約1時間前、報道で捜査着手を知って出社してきた社員たちは、みな一様に硬い
表情。報道陣の問いかけにも「何も聞いていないので分からない」「個人的にはしゃべれな
い」などと答え、足早にビルの中に入って行った。

三菱自動車に勤務する40代の男性社員は「今は黙って見守るしかない。遺族の方にはお悔
やみを申し上げたい」とうつむいて話した。
また、同じビルに入る三菱商事の男性社員は「非常に残念。同じグループとして三菱の看板
に傷がついてしまう」とぶ然とした表情だった。

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