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「いのち」の原稿から
                                         投稿者  神奈川県 田代 祥子

 想 い

   命を想い語ろうとする時、これ迄生きて来た「生」そのものをどれ程真剣にとらえてきた
  のか?その輝きを見つめて育ててきたのか?
    私は痛い程の悲しみを味わう事によって初めて理解出来た事は非常に残念であり、あきら
  めきれない思いが致します。

   私達夫婦は共に青春時代を舞踊にかけ、過ごし、共通の師、多数の仲間達と出会い、踊る
  事によって輝き、その生を存分に楽しんできた、共有する時代がありました。年月の経過の
  中で、色々な想いを経験致しましたが、乗りこえ、お互いを必要とする想いは変わる事はあ
  りませんでした。

   そして、これからこの先何十年も変わらず続くものと信じておりました。主人(五三歳)
  私(51歳)の30年間にわたる二人だけの暮らしの中で、お互いの気持ちを理解し、尊重
  してまいりました。私達の人生は決して個人個人では成り得なかったのです。主人が「彼」
  だからこそ私が「私」でいられたのです。

   おだやかな人生を過ごしていた私達は、ある日突然に顔も知らない第三者の交通犯罪によ
  って、互いの魂ともいえる主人の生をバッサリとたち切らされてしまいました。
   犯された行為(犯罪)は断じて許されるべきではなく、私は加害者を憎み、悲しみと憤り
  のみに背中を押され、裁判に向けて戦い乍らも、宙にぶら下がった様な自分の魂を感じてお
  ります。

   加害者は一人の人間を殺しただけでなく、主人を愛する人すべての魂を殺してしまったの
  です。飲酒運転の常習者である加害者は、走行中に突然センターラインを飛び出し、走行中
  の主人に正面衝突させました。主人の過失度はゼロの交通犯罪でした。

   いつもと変わらず真面目におだやかに仕事先に向かう途中につきつけられた、第三者の犯
  罪行為によって、主人の人生は突然、終わりとなりました。
   それまで二人で重ね、輝いていた魂は、今も私と共に生きております。彼の事を想えば私
  が自身の人生を今後も続けて行かなければ彼と共にいられないのだと、自分に言い聞かせ、  
  一人残された苦しい、どうする事も出来ない選択の中で、もがいております。

   そして宙ぶらりんになってしまった私のこれからの人生、生、魂、をどの様に一人になっ
  ても愛しつづけて行く事が出来るのか? 私の命のある限り、その問いかけはこれからもず
  っと続き、こたえは簡単に出てきそうもありません。

   それでもいつの日か、幼い子供の様に生きている事、それ事体をただ素直に喜び、味わう
  事が出来れば良いな‥‥と思っております。

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