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『逸失利益の研究』---経済学から見た法の論理---
二木先生の著作紹介
二木雄策先生前作の『交通死』は、佐藤光房先生の『遺された親たち』ととも
に、遺族のバイブルとなっています。
その二木先生が、遠路、総会に出席してくださいました。先生は、近ごろ『逸
失利益の研究』という本を著されましたので、紹介していただきました。
『交通死』は、薄皮饅頭に例えれば、遺族の思い、不条理にたいする怒りを餡
こ(アンコ)にして、法律という薄皮でまとった本です。5月に出版されたば
かりの『逸失利益の研究』は、その餡こを除いた、逸失利益に関する法律書と
もいえます。
しかしそのコアにあたる部分には、遺族の無念さが隠されていることは当然で
す。
この本は、内容的にも表現的にも難しく、法律家でもない遺族にとってはちょ
っと手強いかも知れません。
これから裁判闘争に入る遺族には、挑戦してもらいたいと思いますが、むしろ
弁護士など、司法関係者に読んでくれるよう、ぜひ薦めてもらいたい本です。
(帯書きから)
この半世紀の間に、交通事故により50万人以上の人々が犠牲になった。それに
伴い、損害賠償をめぐる多くの訴訟が起こされた。
賠償問題の中心は、当人が生きていれば得たはずの所得を算定する逸失利益の問
題である。
この数値は、私たちの社会が生命を奪われた被害者に対して与えた経済的評価に
他ならない。
家族を交通事故で失い、訴訟を通してこの問題に直面した、経済学者である著者
は、法定でまかり通っている論理が、経済の論理としても、市民感情としても驚
愕すべきものであることを見いだす。
賠償金額は、一定の基礎収入を就業可能期間(18歳から67歳)にわたり獲得
したとする金額から、金利を割り引いて、現在価値に換算して決まる。
1%を割り込む預金金利が長期化しているなかで、5%という民事法定金利が適
用され、賠償金額は著しく実態とかけ離れているが、裁判では「法的安定及び統
一的処理」の名分の下に退けられている。
著者は「現行の逸失利益算定方法は、犠牲者にとって不合理、不公平ではないか
」との疑問を提示し、その理由を地裁から高裁、最高裁へと展開する判例の詳細
な検討を通して明らかにしつつ、それに代わる新たな方法を提案する。
17年間に及ぶ著者の探求と、知的誠実が結実した司法へのメッセージである。
書名 『逸失利益の研究』---経済学から見た法の論理--- 著者 二木雄策
出版社 知泉書館 〒113-0033 東京都文京区本郷 1-13-2
電話 03-3814-6161 URL= http://www.chisen.co.jp/
1935(昭和10)年、金沢市生まれ。
1963(昭和38)年、神戸大学院経済学研究科終了。
神戸商科大学(現 兵庫県立大学)、神戸大学経営学部、姫路獨協大学の教授を歴任。
現在、神戸大学名誉教授、経済学博士。
[業績]「現代日本の企業集団」(東洋経済新聞社)、
「日本の株式所有構造」(同 文庫)、「交通死」(岩波新書)他
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